総合研究所プロジェクト研究
起業家精神教育と農業教育を併せたプログラムを実施し、起業家精神の効果と今後のプログラムの課題を明確にすることを目的とする。
東京農業大学起業家精神を育む教育プログラムの効果に関する研究プロジェクト研究は、期間全体の計画:未来の農業者の起業家精神を育むために、農業現場を学ぶための教育PGの効果をランダム化比較試験によって検証を行う。
本研究では、わが国の起業活動は、世界各国と比較して高水準にあるとはいえず、起業家精神の向上が重要な課題となっている。「起業」を望ましい職業選択と考える人の割合は、中国は79%、米国は68%であるのに対し、日本は25%となっており、これは先進国・主要国の中で最も低い水準にある。また、日本国内の大学におけるアントレプレナーシップ講義の受講者は、対象学生300万人のうち、わずか1%の3万人にしか提供がされていない。そして、起業家133社が日本で起業が少ないと考える原因として、「失敗に対する危惧」「身近に起業家がいない」に次いで「学校教育」を挙げている。東京農業大学内では、「グローバルで食料生産向上に挑戦する高度人材養成包括的プロジェクト」による課題解決力の醸成ワークショッププロダクト開発よる起業が増加しつつある。一方で、大学発のスタートアップ創出を「1大学につき、50社の起業、1社はエクジットを目指そう」という運動を政府が掲げており、起業家数及び起業をする文化の醸成が未発達な状況であることが課題となる。
2023年度~2025年度(3年間)
学内研究プロジェクト
主研究室:東京農業大学 世田谷キャンパスサイエンスポート6階:消費行動研究室(S727)
本調査の結果、総合的な就農に対する意欲に大きな変化はみられなかった。しかし、就農に対する起業家精神の項目では、就農することに対して「あらゆる情報を収集する能力」「計算や統計表, グラフを読む能力」「社会の変化を先取りした行動力」を重要だと思う意識について上昇がみられ、社会の情報を収集する能力を習得しようとする意識が高まったといえる。
一方で、起業家精神を把握する「あなたは失敗することに対する怖れがあり、起業を躊躇している」という項目が上昇し、先述の通り、総合的な就農に対する意欲に大きな変化はみられなかったことを踏まえると、就農に対する意識が必ずしも高まるとは言えず、同プログラムの効果は限定的であったといえる。ただし、起業を躊躇する気持ちが高まり、社会の情報を収集しようとする意識が高まったことから、社会教育プログラムとしての効果が部分的にみられたとも解釈できる。
東京農業大学 総合研究所
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