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東京農業大学総合研究所生物的防除部会、主催の2023年度第1回講演会を下記のとおり会場およびオンラインにて開催いたします。
ご興味がございましたら、ぜひご参加ください。
演題1「スクミリンゴガイによる被害の早期鎮静化にむけた新技術開発の取り組み」
柴卓也氏(農研機構植物防疫研究部門作物病害虫防除研究領域病害虫防除支援技術グループ)
日本各地の水田でスクミリンゴガイによる被害が報告されている。近年の被害増加の要因としては、温暖化による本種の分布域の拡大、生産者の高齢化に伴う圃場の大規模化や水稲栽培の多様化といった農業経営体系の変化が考えられ、国内の多くの生産者から新規防除技術の開発や地域の実情に適した防除体系の見直しが期待されている。当研究グループでは、近年の多発生に対応可能な要素技術の開発と総合的管理技術の再構築に向け、発生予察技術の高度化や高効率防除技術開発を進めており、その取り組みの概要を紹介する。
14:00~15:00
演題2「スクミリンゴガイ被害抑制に向けた水田管理技術の再考―ジャンボタニシはIPMで解決する」
清水健氏(千葉県農林水産部担い手支援課専門普及指導室上席普及指導員病害虫防除支援技術グループ)
水稲に被害を発生させるスクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)が問題となって久しい。本種に対しては水田への侵入防止と農薬による防除が主な対策であったが、米価の低迷も著しい昨今、新たな防除への支出はできれば最小限に留めたい。観察の結果、本種が侵入した同じ地域内では、隣り合った水田でも被害程度が大きく異なる事例が散見された。これは個々の生産者の圃場管理への取り組みの違いによるものと推察された。調査結果に基づき、水田管理技術の改善による被害抑制効果について考察する。
15:10~16:10
演題3「感染症媒介蚊のベクターとしての「死」と昆虫寄生菌の経口感染」演者らは、これまでに蚊類に対する昆虫寄生菌の病原性に加え、その感染経路や、菌感染による蚊類の行動変化に着目して研究を展開してきた。これにより、直接的な致死効果に加え、行動が変化することで感染症を媒介できなくなる亜致死性の効果が存在することを明らかにした。これは、感染症媒介蚊が生物的には生きていても、ベクターとしての機能を失っており、ベクターとしてはすでに死んでいる状況を人為的に作ることができることを示している。現在は、昆虫寄生菌の代謝産物中の致死因子の探索と、経口経路からの菌感染に関する研究も進めており、これらの知見に関しても紹介する。
生物的防除部会 <t3adati@nodai.ac.jp>
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